想定外の介入

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想定外の介入

「ちょっとそこのイカしたおにーさん!」 「・・・」  ダンカーが男の尾行をしていると、見知らぬ女性に話しかけられた。すかさず無視をしようとするが、女性はダンカーの腕を掴んで離さなかった。 こいつにはジョニーがついていない。そんな存在が何の用だ。ダンカーは内心イラついていた。 「・・・なんだ?」  ダンカーは女性の目的を低い声で問いかけた。早く解放してくれ。このままだと見失ってしまう。ダンカーのイライラが募る。そんなダンカーの様子にも気づかず、女は甘ったるい声でダンカーに話しかけた。 「おにーさん、立派なジョニーな気がする!良かったらアタシとワンナイトラブ、しない?」  ダンカーは目を見開いた。なんと、こいつは同業かと。まさか自分の逸物を狙われる事になんて。いや、違う。もしかしたら、こいつもあの男のジョニーを狙っているのかもしれない。彼の逸物の危険を感じたダンカーは、女に絡められていない方の腕で思わず男に手を伸ばす。  その瞬間、男は振り返る。そして、バチリ、とダンカーと視線を合わせた。 目が合った途端、通りを1つの風が通った。ぶわっと道を押し開いていくように吹き上がった風は男のまっすぐな髪をさらさらと揺らした。隣の屋台に飾られた風車がカラカラと軽い音を立てて回る。  そして、男はダンカーへと歩を進める。そしてダンカーの元へと辿り着くと、彼によって伸ばされた手を掴んだ。白く細い指が、ダンカーの逞しい指の隙間へ入っていく。  指を絡め微笑んだ青年はにっこりと微笑み、ダンカーに絡む女性に向かって口を開く。 「何してるんですか?彼、困ってますよ」と。  凛とした態度で発せられるその声には、威圧的な力があった。怯んだ女性は思わずダンカーの腕を掴む手の力を緩める。すると、青年はダンカーを握る手に力を籠めた。力を入れれば折れてしまいそうなその細い指の感触に、ダンカーは思わず驚く。  しかし、いくら華奢でも彼は男。ダンカーの手を引くと、女性からダンカーを剥がすように、走り始めた。手を握られたダンカーは、そんな彼の後ろを走らざるを得なかった。  提灯の光が逃げる二人を淡く照らしていく。その光は暖かかった。逃げる二人を見守るように、そして、二人の逸物を守るように。
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