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二度目の介入
「ふぅ、もうお腹いっぱいです。何も入らない・・・!」
夏祭りの会場から抜け、近くにある森林公園中で二人は隣り合ってベンチに腰かけていた。そして、先ほど購入した屋台の食べ物をむしゃむしゃと食べる。夏祭りのせいなのか、元々なのか、森林公園内は物寂しく、そこにはダンカーと伊織の二人しかいなかった。伊織は相変わらずダンカーへの警戒心は無く、少し困ったようにお腹をさすっていた。
「お腹が空いていると、つい買いすぎてしまいますよね」
俺も悪乗りしちゃいました、と伊織はおかしそうに笑っている。
「お腹いっぱい過ぎて眠くなってきちゃいました。少し、散歩しましょう」
そう言って伊織はダンカーに背を向けて立ち上がった。
そんな伊織を見たダンカーは、いよいよと背中に手を回す。お腹を満たした後はデザートとして彼のジョニーの刈り取らねば、と。背に隠した武器にダンカーの指先が触れた時、背後から聞き覚えのある声が聞こえた。
「チョット待ちな!」
振り返ると、そこには先ほどダンカーをナンパした女の人が立っていた。そして、背後には黒ずくめの男たちが7人。彼らの手には庭師が使うような特大鋏を持っており、シャキリ、シャキリと両手で開閉させている。
「まさか自分たちで孤立するとはねぇ。お陰で色々と手間が省けたよ!」
やはりこいつらは同業か、とダンカーは冷静に彼女たちを見る。先に部下達のジョニーをちょん切ってやろう。ダンカーはそう考えた。しかし、そんなダンカーを守るように、伊織は彼女らの前に立ちはだかる。
「こんな所で何してるんですか・・・!そんな危ないものを持って。ダンカーさん逃げてください!ここは俺がどうにかしますから」
巨大鋏を前にしても伊織は動じず凛とした声で言い放った。しかし相手も恐らくジョニー狩りのプロ。伊織の行動には無理があるだろう、とダンカーは冷静に考える。そして逃げずに伊織の肩に手を乗せた。
「お前は俺のものだ」
「ダンカーさん・・・?うっ」
ダンカーはカツン、と伊織の背中に手刀を下ろして彼を気絶させた。崩れ落ちる彼を優しく抱き抱えると、そっとベンチに寝かせる。それを見た彼女たちはゲラゲラと笑っていた。
「ハーァ、バカだねぇ!仲良く共倒れでもするつもりかい?お前達、やっておしまい!」
女は唾をまき散らしながら叫んだ。
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