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青年は一人
誰もない森林公園の中。
「あれ・・・俺・・・」
ベンチの上で目覚めた青年は、上体を起こし目を擦りながら辺りを見渡した。
「ダンカーさん・・・?」
伊織は先ほどまで一緒にいた男の名前を呼ぶ。その声はどこか切なげだった。
「あ・・・」
伊織は自分の身体にシャツがかけられていたのに気が付いた。これはダンカーさんが着ていたものだ。伊織はくしゃりとその細腕で抱き締める。
「また、会えるといいな。ダンカーさん・・・」
伊織は少しだけ寂しそうに微笑んだ。しかし、その表情はどこか余裕があるように見えた。
「そういえばあの人、昼間も見たんだった。やっぱり容姿が目立つから・・・。きっと、また噴水広場のベンチに座っている筈。見つけたら声をかけよう。ちゃんとシャツを返さなきゃ」
後日、伊織がダンカーと無事再開し、その後どうなったのかは、また別の話。
The END.
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