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ジョニー狩りのダンカーさん
真夏の太陽がジリジリと照りつけるとある夏の日。
噴水が中心にある公園でとある男がベンチに腰を掛けていた。
その公園には観光客が多いのか、沢山の人がそこに集まっており、とある人は隣を歩く友人と雑談を交え、或いは、一人でカメラやスマートフォンを翳しながら辺りを歩いており、様々な人で溢れていた。そんな賑わいの中でベンチに座り、人混みを眺める一人の男。彼の容姿は堀の深い顔立ちをしており、道行く人の目を惹いていた。
しかし、誰一人として彼と視線がぶつかる事は無かった。
何故なら、彼は雑踏を眺めながらも、とある一点ばかりに視線を向けていたからだ。
それは、男性の腰。彼が眺めていたのは、主に腰の、より詳しく言うなら、中心ばかりを見ていた。
彼は吟味していた。誰のアレを刈ろうか、と。
彼の名はダンカー。とある性癖を持った男である。
彼は別名、ジョニー狩りのダンカーと呼ばれていた。
ここで言うジョニーとは、男性の性器の事を指す。つまり、ベンチで男性の腰を一心不乱に吟味していた男、ダンカーの性癖は、男性の逸物を刈り取る事であった。
彼は生まれた時から異常だった。ダンカーは、男性器を刈り取るのに異常な高揚感を得ていた。なぜ彼がそうなってしまったのか、そして何故日本に居るのかは割愛するが、ダンカーは兎にも角にも四六時中男性の逸物を刈り取る事で頭がいっぱいだった。
「・・・!」
そんなダンカーは公園の中で一人の青年を見つける。
それは勿論男性だった。しかし、彼は男にしては線の細いスラっと伸びた身体付きをしていた。それに東洋人を連想させるさらさらと風に靡く黒髪は美しかった。ダンカーは一気に釘付けになる。しかし彼は青年の容姿には、一切気にも留めていなかった。ダンカーの視線は青年のジョニーにある。
(あれは・・・必ず立派だぞ)
ダンカーの脳内はそれだけだった。思わず唸る。
友人とともにこの公園に来ていたのか、青年は隣を歩く誰かと微笑み合っていた。切れ長の瞳は涼しげな印象を与えていて、薄く開かれた唇は、控えめで上品な桜の色味を帯びていた。
遠ざかっていく彼を追うべくダンカーは立ち上がる。そして、理想の逸物を持っているに違いない青年の後ろを尾行し始めたのだった。
「今日、楽しみだな」
彼は友人に話しかけた。その声は気品があって美しかった。しかし、それすらも気にならないダンカーは何が楽しみなのかと会話に耳を傾ける。
「〇〇神社の夏祭り。今年はどんな感じになるのかな。夜が待ち遠しい」
ダンカーはその言葉に瞬きをする。
(夜は、刈り易い)
逸物を刈る事を考えていた。ダンカーの頭には当たり前にそれしか無かった。
「集合場所はどこだっけ」
友人が男に尋ねる。
「19時に、鳥居の下だよ」
男は、まさか盗聴されているとも知らずに答える。
(むぅ)
ダンカーは再度心の中で唸る。その時間に行けば、楽に刈れるかもしれない。と考えており、暗い中、人混みに紛れてどう刈るか、頭の中でシミュレーションを始めていた。
男の逸物を刈り取る為の武器を研ぐべく、ダンカーは彼に背を向けて歩き始める。
どうせまた夜になれば手に入る。その為の用意をしなければ。久しぶりの大モノだ。必ず大きいぞ。ダンカーはまだ見られぬ逸物に期待を膨らませながら、歩を進めたのだった。
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