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「美穂、可愛い」
ぐったりした私の頬を撫でる国生君は息こそ乱してるけど、まだ余裕が見えて憎たらしい。
「小悪魔……詐欺師……」
思わず恨み言が出る。いや、小はいらない気がしてきた。
「美穂のせいだから」
「はぁっ!?」
これは責任転嫁? 何で、私のせい?
「初めて見た時から欲しくてたまらなくて、惚れてほしかったのに全然落ちないから余計好きになっちゃったんです。だから、俺に非効率的なことさせた責任とってください」
いや、そういう態度じゃなかったよね?
国生君が勝手にしたことだよね?
「責任って……そっちこそ、どうするのよ、これ……」
「いや、女上司をグチャグチャのドロドロにするみたいなの、すげー燃えるなぁって」
イラッとした。中途半端に脱がされたまましたせいで私の服は大変なことになってるのに、何て性癖……!
国生君について知らなくて良かったことをいっぱい知った気がする。
「俺が何も考えてないとでも? 余計なこと考える余裕があるなら大丈夫ですよね?」
「え……?」
全然大丈夫じゃないけど、何が大丈夫?
何か嫌な予感がする。思わず逃げようとした腰を掴まれる。
「もう一回、いいですよね?」
「よ、よくない……!」
ぐったりしてるのが国生君にもわかるはずなのに、本当に悪魔?
首を横に振って訴えるけど、国生君はすっかりその気のようで……
「待って! 話し合おう?」
「話すの面倒なんで、体で語ります」
いや、喋る方がエネルギー消費しないよね? どうしよう、国生君の面倒の基準が全然わからない。
「後のことは全部俺に任せて安心してもっと乱れてください」
国生君が覆い被さってきて、その笑みに体が震えて、何も言えなくなる。
敵わない。そう悟った。
そうして、私は国生君のベッドで朝を迎えることになったのだった。
所謂『彼シャツ』に興奮した彼にまたドロドロにされたわけで……
着替えは買ってきてくれたけれど、釈然としないのは何でだろう? お詫びにって買ってきてくれたスイーツを食べながら、丸め込まれてる感半端ない。
でも、何だかんだ国生君のことが好き……かもしれない?
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