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省エネ男子はケダモノだった
今週も何とか仕事を乗り切れそうで休みが待ってる。何をするわけでもないけど、あと少し。コピーをとりながら、今日は飲みたいな、なんて思ってた時だった。
不意に服の裾を引っ張られた。そのまま何も言わずに去って行っていく後ろ姿は後輩の国生英音君。
入社時から女性社員達をキャーキャー言わせてる彼がイケメンなのは間違いない。
サラサラの黒髪は刈り上げマッシュヘア、つり上がりがちな綺麗な二重の目元は涼しげで鼻筋も通ってるし、唇もカサカサなの見たことないし、美容に気を遣ってる? フェイスラインもシュッとしてるし、背が高いし、どこぞのアイドルかって思う。いや、本当に会社員じゃなきゃアイドルだったかもしれない。歌って踊るのなんて想像できないけど。
一部の男性社員が「すかした野郎」とか思ってるのはまあ嫉妬なわけで。仕事はできるから誰も何も言えない。
そんなクール男子の国生君が服の裾を引っ張ってきた時は「今日、一緒に飲んであげてもいいですよ」っていう合図らしい。私にしかわからない秘密の合図って言うほどいいものでもない。
要するに「飲みに付き合ってください」ってこと。
ううん、それも違うかもしれない。多分「先輩、どうせ暇で飲みに行く相手もいないんだから俺に付き合ってよ」ってところ?
悲しいことにというか、もう悲しいと思う感覚すらなくなってるくらい恋愛に発展しないから暇なのは間違いない。正直、認めたくないけど。
指導した縁で懐かれてるらしいことは喜ぶべきかどうか。正直「何でやねん!」と思ったりもするけど、仕事終わりに完璧なイケメン眺めながら飲むビールは美味い。何よりものつまみ。いや、倍増させるスパイス? 飲みたいって思ったのも事実。断る理由なんてなかった。
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