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「お疲れっす」
会社から離れたいつもの場所で待ってると国生君がやってくる。いや、何で私が待たされるかわからないし、格好良く着こなしたトレンチコートのポケットに手を突っ込んでるけど、今更怒る気にもなれない。
あー、スイッチ切れてるなーって思うだけ。
私は密かに彼を省エネ君と呼んでいた時期もあった。仕事中はちゃんとしてるし、基本は目上の人にも失礼なことはしない。なのに、私にだけはこうなる。安心されてるのか、信頼されてるのかよくわからない。
――あー、可愛いな、ちくしょう!
私がビールを飲んでる向かいでカクテル飲んで唐揚げをモグモグしてるのが妙に可愛いとか反則じゃないか。女顔っていうでもないのに、そこらの女の子より全然可愛いきがする。
無駄なことはしたがらない性格だし、恋愛のタイプかは別として顔はタイプ。喋らなきゃ本当に完璧かもしれない。
「先輩って俺のことなんだと思ってるんすか?」
国生君はお酒に弱いわけではないらしい。ただ無駄だと思っているだけなんだとか。本人がそう言ってるだけなんだけど。いや、「無駄ならなぜ誘う!?」と思いもするけど、飲みたい日があるのもわかる。
だから、酔ってるわけでもないんだろうけど、国生君は急にそんなことを聞いてきた。
正直、私のことをなんだと思ってるのか聞きたい。いや、問い詰めたいところ。
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