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「可愛い……後輩?」
いざ聞かれると言葉に困る。
弟というほど親密でもないし、ましてや友達でもない。結局、後輩。ただの後輩というよりはちょっとプラスが付くくらいの程度……いや、それも違うかも。
「猫みたいな?」
「ペットっすか」
「素直じゃないし、気まぐれで振り回してくる的な? ツンデレ?」
飲みたいなら普通に誘ってくれれば良いのに、国生君はそうしない。
私のことを気遣ってくれてると思いきや、そうでもない気もする。何を考えてるか全然わからない。都合の良い先輩くらいに思われてる?
「先輩、男は? どれくらいいないんすか?」
「彼氏? 大学出てからはいないかな?」
私も何やかんやアルコールが回ってるのかもしれない。プライベートな質問につい答えちゃうくらいには。
別に仕事一筋だったわけじゃない。だけど、チャンスがなくて、いよいよアラサーの世界に足を踏み入れて今に至るわけで。別に寂しくも悲しくもない。先輩思いの可愛い後輩がいると思えば。
「今日は俺……飲みます!」
突然の宣言。どういうスイッチの入り方なのかわからない。
「え……? あーっ!」
国生君は一気飲みするけど、それは私のビール……!
こうなれば私ももう一杯!
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