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「伝わってないなら、もっと頑張らないとか……」
「面倒だよ……!」
仕事以外で頑張るとか国生君が最も嫌う面倒臭いことのはず。
それを思い出してやめてくれればいいんだけど……
シャツを脱ぎ捨てた国生君の体は綺麗だった。無駄なく引き締まってる。面倒臭がって省エネモードになるくせにそういう努力は惜しまないのか。
「欲しいもの手に入れるのに面倒とかないから」
きっぱり言われた。
……って、どういうこと?
「欲しいものって……」
国生君は何が欲しいの?性欲処理の相手? セフレ?
そんなの、国生君にとっては楽に手に入れられるはずのもの。いや、適当な相手だと後が面倒なのかも。少なくとも私は言いふらしたりしない。国生君と飲みに行ったことだって誰にも言ってない。そういう口の堅さを信頼されてるのかもしれないけど、私にとっては大変不都合な状況。
「わからないなら説明するの面倒臭い」
そこは面倒臭いのかよ!
くっ……面倒臭い。国生君が面倒臭い。
「説明してくれないとわからないよ……!」
「もういい、黙って」
何て言い草。もういいって、黙ってって……私がうるさい分からず屋みたいだけど、悪いのは国生君で間違いない。
なのに、顔が近づいてきて、唇が塞がれた。
「んっ……! んぁ……っ!」
アルコールのせい? 酸欠のせい? って言うか、国生君のせい?
クラクラしてわけがわからなくなってくる。
「ふぁぅっ! だめっ!」
意識がぼんやりしてきた私の胸に国生君の手が触れる。手フェチの同僚が涎を垂らしていた細くて長くて骨ばった指が私の大したボリュームもない胸を揉みしだいてる。
慌てて突き放そうとするけど無駄だった。
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