ボクが茶色くてちっちゃくて可愛い子を選んだ理由

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「あなたを選んだ理由」 あなたを選んだ理由なんてない。 だって、私があの人を選んだ訳じゃなくて、あの人に私が選ばれたのだから。 私は、選ばれしものなのよ!! (白くてちっちゃくて可愛い子: 談) ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅ 三才のまあくんが、ペットショップのゲージをじっと見つめる。 「まぁま、これ、ほちぃ」 「まあくん、このワンちゃんが気に入ったの?」 「うん!」 「そう。そうね、白くてちっちゃくて可愛いから、この子にしようか」 まあくんのママが、近くに立っている店員さんに声をかけた。 ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅ 「あなたを選んだ理由」 「ボクね、この子を見た瞬間に雷に打たれたような衝撃を感じたの。きっと、ボクらの出会いは運命的なんだよ」 (まあくん三才: 談) ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅ 何やら、店員さんから話を聞いたママさん。 「まあくん、この子ね売約済みなんだって。あぁ、えっと、他の子のおウチへ行くことが決まってて、まあくん、どうする?」 「…… じゃぁ、まぁま、あっちの子ほちぃ」 店員さんが笑顔で、 「今、ケースから出しますね。お待ちください」 ┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅ 「あなたを選んだ理由」 「何も言わないで。ボクも悲嘆にくれてるから。彼女とはきっと結ばれない運命なんだね…… ?」 「わかったよ。はっきり言うよ。白くてちっちゃくて可愛い子が売りきれだから、茶色くてちっちゃくて可愛い子を買ってもらったの!」 (まあくん三才: 談)
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