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「こんにちは~。環ちゃん? 元気にしてた?」
「あっ。明子叔母さん? は、はい。お久しぶりです。元気です」
思わず『体だけは元気です』という言葉を飲み込んだ。
「環ちゃん、今、お仕事何してるの?」
「あ、えっ。その」
「前は派遣社員してるって言ってなかった?」
「……あ、実は契約が終わってしまって」
「え、無職ってこと?」
――少しは遠慮ってものがないの!叔母さんは。
昔から明子叔母さんは、人柄は良いのだが、ちょっと無神経なところがある。
「ええ、そうなんです。面接まではどうにかこぎつけるんですけどね」
軽く嘘をついてしまう。書類選考で不採用になってしまうとは、この先の質問攻めを見越すと決して言えなかった。
「うそ~。環ちゃん、顔だってそこそこ可愛いのにね。見る目ないんだね。その会社のやつら達も」
――そこそこは余計だ。しかも外見だけが不採用の要因じゃないこと、私だって分かってるから。
「だったら余計に……いい話があるのよ、環ちゃん」
なんだか怪しげな何かを買わされてしまいそうなニュアンスで、叔母さんが切り出す。
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