第二章 : 夜のしじまのカーテンコール

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人気のあるPhotostar(フォトスター)を何人か見ていくと、少し気だるげな雰囲気を持ちながらも、長身で綺麗な顔だちの男性に目を奪われる。 アカウント名は『YUーMA』。 「ユウマ」と読むのだろうか…… どの写真も目線は少し伏せてあるが、コーディネートも私物らしき小物も全てがスタイリッシュでかっこいい。 モデルではないようだが、彼の写真に付いたコメントはどれも「かっこいいですね」「おしゃれですね」「どこの洋服ですか」など、彼を絶賛したものばかりだ。 ……この人、モテるんだろうな。 写真の世界観に惹きつけられてしまって、仕事も忘れ片っ端からチェックしてしまう。 外見と言うよりも、彼の写真全体から醸し出される雰囲気が一目で気に入ってしまったのだ。 「こういう方がタイプなんですか?」 「ひゃっ!」 気づくと片桐さんが私の背後から、ぬっと現れて、スマートフォンの画面を覗いていた。 ……いつから居たんだろう。めちゃくちゃ恥ずかしい。 「驚かせてすみません。あの良かったら昼食、済ませちゃいませんか」 「は、はい。書類を片づけたらすぐに行きますね」 どうやら私に昼食ができたことを知らせに来てくれたみたいだ。 こんな時に限って、内線を使わずに直接来るなんて。 必死に顔の火照りを両手で仰ぐようにして誤魔化す。 片桐さんは天然なのか、たまに私をどきりとさせる。
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