第二章 : 夜のしじまのカーテンコール

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「凄いです! 片桐さんて写真の勉強されていた事あるんですか?」 「いえいえ、習ったりはした事ないです。趣味の一環でカメラを少しいじる位でしょうか」 片桐さん、やはり只者では、なさそうだ。 それに比べ、私の取り柄のなさったら。 彼といると自分の駄目さが際立つ気がしてならない。 ・・・・・・叔母さん、何処から彼を見つけてきたの。 「スマホでも少し工夫すれば、それなりに見える写真が撮れますよ。良かったら今度お教えしましょうか」 「えっ、はいっ。是非!」 思わぬ提案に少し戸惑ってしまった。 彼にとっては仕事の一環だから、私が何も意識することないんだ。 「じゃ、今度時間がある時にでも練習してみましょう」 「お、お願いします」 片桐さんは素早く仕事モードに切り替わり、昼食の後片づけを始める。 コップに残っていた水をぐっと飲み干して、私も席を立った。
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