丸山短歌賞選考会

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河野 ㊱は確かに、これを短歌といっていいのか僕も迷いましたが、ちゃんとミステリーになっていて、作者の力量を感じました。50首読み終わるまで、誰が犯人なのか全くわからず、手に汗握りながら読みましたよ。僕は㊱に短歌の新しい可能性を感じました。 あや乃 「銃口を奴の額に定めつつ後ろから前から春香を犯す」。編集部さんよく残してくれたわよね。私も㊱は、ドンデン返しの連続に唸らされました。 北條 私は⑤こそが、この伝統ある丸山短歌賞に相応しいと思う。「雨。やがて街のねむりを眠らしめ夜の底に立つ我の混沌」。地方都市に住む孤独な青年の魂の叫びが、一連にただよっている。 韮本 全体として何が言いたいのか、よくわかりませんでしたわ。 河野 地方都市に住んでるってわかるんですか。 北條 あ、いや、なんとなく。ともかく、⑤の受賞ならば歌壇が納得するだろう。 あや乃 それですが、⑤の受賞なら今までと変わらないわけですよ。今や短歌は、俳句に大きく離されています。俳句は、テレビのゴールデンで芸能人が楽しそうに作っているためか、若い世代でも俳句を始める人がどんどん増えています。私のところでも、俳句に傾倒し帰ってこない人がちらほらいて、私は大きな危機感を持っています。短歌の未来を考えるなら、⑤ではなく、読者との身近さを感じさせる㉞や㊱の受賞が望ましいと私は思います。 北條 ㉞と㊱の作者は、結社に所属しているのかね。
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