夏にも春はくるものでして…

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「さて、遅刻魔ひなたもやっと来た事だし、始めるね。今日ミーティングで皆を呼び出したのは…ことしは……」 はぁ、夏ってどうして滝のように汗がでるんだか…。 ミーンミーンと、セミも毎日おつかれだね。 ミンミンパラダイスだよまったく。そのせいでうるさくて夜寝られないじゃないか。 ミーンミーン…………………って…え? 「私達がソフトボール全国大会のアナウンス!?!?」 放送部のミーティング中に呑気な事を考えていた私、中村ひなたは皆よりひと足遅れたリアクションをとって、また皆の目を丸くさせた。 インターハイ。 それは、高校生の運動部にとって1番大きな大会であり、3年生にとっては部活動生活の最後を飾る引退試合なの。 県内で勝ち抜いた人達はそれぞれの都道府県代表の選手と全国大会で競うんだけれども… その全国大会の開催地が今年は何故か私たちの住む県が選ばれたの。 「私たち清涼ヶ山高校(せいりょうがやまこうこう)の放送部は、男子ソフトボールの全国大会開会式のアナウンスを任されたの。責任重大だけど、やるしかないよ」 華は、私の肩にぽんと手を置いた。 が、私はとっさに払い除ける。 「ちょっと待ってよ、私たち県内ではアナウンス下手くそ放送部で有名じゃんか!!かと言って教えられる先生も、ましてや先輩すら居なかったんだし、どうしてよりにもよって全国大会でなの〜」 涙目になって華の肩にすがりつく。 全国大会へと歩を進める選手達から鼻で笑われる所が目に浮かぶ…。 部活の内容は違うけれど努力に努力を積み重ねてきた人達だ。見分ける力はあるだろう。きっと…。 「放送部って所詮どこもこんなレベルなんだろうな、あーっはっはっは爆笑爆笑爆笑」 な〜んてレッテル貼られちゃ、全国の頑張ってらっしゃる放送部さんに失礼だよ!!! 「仕方ないじゃない、そうやって振り分けられたんだから。他校の放送部だって他のスポーツでアナウンスまかされてるのよ。」 うぅ…そうなのか…。これは今年の清涼ヶ山放送部の試練…。とにかく頑張るしかないみたい…
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