警報を聞くには500mで十分だ

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警報を聞くには500mで十分だ

警報を聞くには500mで十分だ。 社会人となり二ヶ月と半分が過ぎようとしている。 明日が休日の私は行きつけの居酒屋へと歩みを進めている。 見慣れたセブンイレブンの前、横断歩道。 車の流れを確認することも忘れて横断する。 危うく轢かけてしまった。 焦っている。既に取りこぼしたものの多さに。 前を行く女性が歩道を遮った。 煩悩を試すかのように女性の尻が揺れるものだから、興味はないと誇示するかのように目を逸らす。 緑が広がっていた。 その瑞々しさに目を奪われる。 十全に若いはずなのに。 電線に泊まっているカラスが鳴いた。 まるで人生の警報みたいに鳴いた。 心を凍らせようとの思いに至ってから5年が過ぎた。 だが、凍らせた心はあっと言う間に溶けだしてしまったのだ。 4年と持たなかったのだからマンモスには頭の下がる思いだ。 ひょんなことから足を踏み入れた無財餓鬼の世界。 西日に照らされて見えた思い描くことのできる人生、約束された未来への抵抗を始めてから既に半年が過ぎようとしていた。 無財餓鬼にとって人生は短すぎる。
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