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不自然な程、ピンク色の空に雷鳴が轟く。
思わず肩をすくめる。
あーあ。結構濡れちまった。
田中さん家の店で雨宿りでもすっか。
雨は容赦なく振り続き、雷も鳴り止まない。
これは、しばらく足止めをくらいそうだ。
田中金物店の庇の下に駆け込む。
庇は奥行きがあまりない。
かなり身を屈めないと、肩がずぶ濡れになってしまいそうだ。
有り難いことに、ここの店主は、俺と顔見知り。
気づかれても追い出しはしないだろう。
助かった。
ぐっしょりと纏わりつく制服がなんとも言えない感触だか、雨が上がれば家に着くまでは乾くだろう。
などと考えていると、どこからか視線を感じる。
左右、何処を見ても誰もいない。
気のせいかと正面を向くと、やはり視線を感じる。
もう一度、辺りを見回すと、その視線は目線より遥か下の方から送られているものだった。
あ、ガキか。
ランドセルを背負って、歯をカタカタ言わせて震えている女子小学生だった。
何か言いたげにこちらを見ているが、ガキの苦手な俺は無視を決め込む。
すると、ガキも俺に話しかけにくいのか、言葉は発さない。
ピカッ。バキバキバキッ!
どこか近くに雷が落ちたような音がした。
「ひぃっ!」
「きゃっ!」
俺とガキは、まるで息の合ったお笑いコンビの様に顔を同時に見合わせる。
俺でも声が出るくらいだ。ガキはもっと怖いだろう。
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