魔族

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魔族

 「大丈夫ですか?」  「あ…はい!」 クレア王妃が男性に声をかけると、男性は苦しそうな声で呟き、ゆっくり体を起こした。  「強い魔物は?」  「さっきまでそこに…あれ?」 体を起こした男性が指を指すが、そこには何も居ない。  「おかしいなぁ…」 男性がそう呟いた瞬間、殺気が辺りを包み込む…そして何処からか聞き覚えの無い声がした。  【黒い鎖~ブラック・チェーン~】   「ぐあっ!」 何処からかともなく飛んできた黒い鎖が、俺の首に巻き付いた。  そして、倒れていた男性の代わりに、黒い靄の塊が宙に浮いていた。  「やっぱり…か!」 首に巻き付いた鎖を断ち切ろうとしたが、苦しいわ力が入らないわで断ち切れない。  まわりに居た人達は、蜘蛛の子を散らすようにして居なくなっていた。  「ぐうぅ…」 徐々に首か締め付けられ、気が遠くなろうとした時!  【光の拳~レイ・フィスト~】  【ギャッ!】 クレア王妃が黒い靄を吹き飛ばしただけでなく、黒い鎖も断ち切っていた。  「全く…それでも貴方は、あのルナ族ですの?」  「すみません…」 気を取り直して拳を構え、黒い靄を見据えた。  「やっぱりか!と言ってましたが…あの魔物は一体…?」  「彼奴は…魔族と呼ばれている魔物…貴女もご存知のはず!」 クレア王妃に聞かれ、答えると同時に魔族が突っ込んで来た。  【黒い拳~ブラック・フィスト~】  【聖なる拳~ホーリー・フィスト~】 魔族の技を相殺させて、距離をとった。  「魔族って…あの?」  「はい!“あの”魔族です!」 今度は、俺が奴に突っ込む番だ…光の魔力を両拳に込め、連撃を食らわせた。  【ギャァァァァ!】 不意を付かれた魔族は、叫び声を上げながら宙をグルグル暴れ回る。  技が効いていて、なおかつ魔族だと言う証拠でもある。  「聖剣・獅子王波!」 後ろから急に、光輝く獅子が飛んで(宙を駆けて?)来て、魔族に直撃した。  【ギャァァァァァァッ!】
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