4人が本棚に入れています
本棚に追加
魔族
「大丈夫ですか?」
「あ…はい!」
クレア王妃が男性に声をかけると、男性は苦しそうな声で呟き、ゆっくり体を起こした。
「強い魔物は?」
「さっきまでそこに…あれ?」
体を起こした男性が指を指すが、そこには何も居ない。
「おかしいなぁ…」
男性がそう呟いた瞬間、殺気が辺りを包み込む…そして何処からか聞き覚えの無い声がした。
【黒い鎖~ブラック・チェーン~】
「ぐあっ!」
何処からかともなく飛んできた黒い鎖が、俺の首に巻き付いた。
そして、倒れていた男性の代わりに、黒い靄の塊が宙に浮いていた。
「やっぱり…か!」
首に巻き付いた鎖を断ち切ろうとしたが、苦しいわ力が入らないわで断ち切れない。
まわりに居た人達は、蜘蛛の子を散らすようにして居なくなっていた。
「ぐうぅ…」
徐々に首か締め付けられ、気が遠くなろうとした時!
【光の拳~レイ・フィスト~】
【ギャッ!】
クレア王妃が黒い靄を吹き飛ばしただけでなく、黒い鎖も断ち切っていた。
「全く…それでも貴方は、あのルナ族ですの?」
「すみません…」
気を取り直して拳を構え、黒い靄を見据えた。
「やっぱりか!と言ってましたが…あの魔物は一体…?」
「彼奴は…魔族と呼ばれている魔物…貴女もご存知のはず!」
クレア王妃に聞かれ、答えると同時に魔族が突っ込んで来た。
【黒い拳~ブラック・フィスト~】
【聖なる拳~ホーリー・フィスト~】
魔族の技を相殺させて、距離をとった。
「魔族って…あの?」
「はい!“あの”魔族です!」
今度は、俺が奴に突っ込む番だ…光の魔力を両拳に込め、連撃を食らわせた。
【ギャァァァァ!】
不意を付かれた魔族は、叫び声を上げながら宙をグルグル暴れ回る。
技が効いていて、なおかつ魔族だと言う証拠でもある。
「聖剣・獅子王波!」
後ろから急に、光輝く獅子が飛んで(宙を駆けて?)来て、魔族に直撃した。
【ギャァァァァァァッ!】
最初のコメントを投稿しよう!