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翌日…
東の空が明るくなった頃に目が覚め、体を起こして立ち上がると、近くの川から此方に向かってラベリアが歩いてきた。
どうやら水浴びをしたらしく、長い黒髪が濡れている。
「もう起きたの?」
「あぁ…」
俺は伸びをしながら答え、荷物をまとめ始めた。
「…」
彼女は黙ってそれを見つめる。
「ピィッ!」
まとめ終わった荷物を地面に置き、指笛を吹くと、愛馬が此方に向かって歩いてきた。
「その馬…陽光馬(ようこうば)?」
「ん?知ってるのか?」
「うん!一度見たこと有るから!」
俺の愛馬は陽光馬と呼ばれていて、空気中に漂っている魔素(マナ)の影響を受けて産まれてきた馬の事で、普通の馬の倍以上のスピードとスタミナを兼ね備えている。
そして陽光馬が汗をかくと、太陽の光で体が陽光のように輝く事から“陽光馬”と呼ばれるようになった。
「よっし!」
荷物を積み終え、愛馬に股がり彼女に手を差し伸べた。
「えっ?」
「エルミナに戻るんだろ?」
「あ…うん…」
彼女は、躊躇いながら俺の手を取り、俺の後ろに乗った。
「エルミナまで飛ばせば半日…急ぐか?」
「えっ…いや…別に…」
「フッ…わかった!」
口の端を吊り上げて笑い、愛馬に速く走るように合図した。
「は…速い!」
「だろ?」
また、口の端を吊り上げて笑った。
半日ほど走った所で、魔物の殺気を感じ、愛馬を止めた。
「シュウ君…」
「あぁ…ゴブリンの群れだ!」
ゴブリンの群れが目視出来る位置に居たため
、愛馬から降り、彼女に手を貸し降りてもらい、指笛を吹いて愛馬を安全な場所に行かせた。
「戦えるか?」
「えぇ!」
左腰に下げていた剣を右手で抜いて構えながら言う…群れの真ん中にいたゴブリンが何やら合図した。
「来るぞ!」
声に反応したかのように、ゴブリン達が一斉に動き出した。
ラベリアも剣を抜き、構えた…彼女の剣は俺のより倍ほど太い。
「ゲヒャヒャ!」
ゴブリンの一匹が笑うと、何処からともなく別動隊らしきゴブリンの群れが現れた。
「チッ…」
舌打ちして剣に雷の魔力を流して、近づいてきたゴブリン達を切り付ける。
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