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「しかし…」
俺はふと、荒野で戦ったゴブリンの群れの事を考えた。
『ゴブリンはともかく…ボーンナイトは共闘しない魔物のはず…』
彼奴等の行動が人間じみていて変な感じがした。
『一体どうなってんだ?』
それに、ラベリアがなぜあんな所で倒れていたのかも気になった。
「あーもう良いや!寝よ!」
考えるのをやめて俺は寝ることにした。
目が覚めたのは、昼の一時間ほど前で、慌てて飛び起きた。
「マズイなぁ…」
急いで剣と魔道書を腰に下げ、宿のカウンターへ行き鍵を返して外に出た。
外に出て少し走り、人影の無い路地に入って簡単な呪文を唱えた。
【風の翼~ウィンド・ウイング~】
目には見えない風の翼を背中に生やし、体を浮かせて目立たなそうな場所を飛び、中央にある城の門近くの路地に降りてから…ひたすら走る。
「とまれ!」
門の前で、兵士二人に止められたので止まる。
「この先へ進むなら手続きを…」
「急いでるんだ…通してくれないかな?」
俺は懐からエルミナの象徴でもある、獅子二頭が彫られたコインを取り出し、兵士二人に見せた。
「こ…これはッ!」
「しッ…失礼しました!お通りください!」
このコインは、村を出発する前に俺の親父がくれたものである。
「ご苦労さん!」
後ろ手に手を振りながら言って先へと進んだ…このまま進めば、謁見の間までいけるようだ。
「ここか…」
何れくらいか歩いた先に、大きな扉が現れた…昼前なので、全く人の姿がなかった。
「ギィィィィ…」
片手で扉を押して開け、そのまま玉座まで歩き、三メートル手前で立ち止まり、片膝をついて右拳を地面に付け、頭を下げる。
「私の名は、シュウ・ケルン・ラークシア…一族の掟により参上いたしました!」
「おぉ!ルナの者か?」
「はっ!」
俺はそのまま声が掛かるまで待った。
「頭を上げなさい」
「はっ!」
頭を上げて、国王の顔を見る…一目で彼がエルフだとわかった。
「ラークシア…お主…ガイラの息子か?」
「はい!父からレイド王の事を聞いて育ちました!」
「そうか!これからこの国に、力を貸してくれるか?」
「はっ!微力ながら力をお貸し出来る事を光栄に思います!」
もう一度頭を下げ、少しそのままで待機し、頭を上げて立ち上がり、回れ右しようとした時、謁見の間の扉が勢いよく開いた。
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