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「レイド王!大変ですわ!」
叫びのような声に驚き、扉の方を見ると、身なりの良い頭に二本の角を生やした女性が青い顔をして、此方にツカツカと大股で歩いてきた。
「どうしました?クレア王妃!」
クレア王妃と呼ばれた女性は、俺に見向きもせずレイド王の前に立ち尽くす。
「私の一族の者が、強い魔物に襲われた…と!」
「強い魔物?」
「はい!謁見に来た一族の者から報告を受けました!」
彼女の強い魔物と言う言葉に反応し、「クレア王妃!」と叫んでいた。
「私をそこへ連れていって下さい!」
「貴方は…ルナの?」
「はい!」
彼女は顎に手を当てて考え、口を開いた。
「レイド王!よろしくて!?」
「あぁ!」
クレア王妃は、レイド王の言葉を聞いて直ぐ走り出した。
「レイド王!失礼しました!」
それだけ言ってクレア王妃の後ろに続いて走り、追い付いてから口を開く。
「場所は?」
「エルミナの…東門ですわ!」
城の門を出て直ぐに、彼女が呪文をブツブツ呟くのが聞こえた。
「飛びますわよ!?」
「はい!」
俺は彼女とほぼ同時に体を浮かせ、東門へ向かって飛んだ。
「強い魔物とは?」
「報告を受けただけなので…何とも…」
「そうですか…」
「心当たりでも?」
彼女は前を向いたまま聞き返す。
「無い訳では無いのですが…」
「違うかも知れない?」
「はい…」
見てみない事には判断出来ない…もし思った通りの魔物なら、マズイ事になる。
「あの辺りですわ!」
城壁を越えて直ぐ、クレア王妃が前方を指差す。
そちらを見ると、何やら小さな人だかりが出来ていた。
「降りますわよ!」
「はい!」
彼女の合図で下に降り、人だかりに駆け寄った。
人だかりの真ん中に、クレア王妃と同じ種族“タウルス族”の男性が倒れていた。
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