アマクナイビエ

弐

　派手な音と共に水飛沫が上がると、直ぐさま水面から女の顔が浮かび上がる。

「たっ、助けへ！　私泳げなひの！」

　必死に水をかく女の下に、アマビエは優雅に水面を泳いで近づき言った。

「でしたらヤクソクしてくだサイ。もうにどと、ヨウカイにひどいコトをしないと」

「はあ？　あ、あんた何様のつもり……」

　抗議しようとする暇も与えず、橋から溢れ行き場を無くした大量のウイルスが徐々に下降してくる。

「わっ、わかった！　もう酷いことしない！　約束する！　だから助けふぇ！」

　それを聞いたアマビエは、女を自身の体に掴まらせ近くの陸地へと連れて行った。