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口から水を吐きむせかえる女。そこへ尚もウイルスの魔の手が忍び寄る。
「ひいっ! 早く逃げなきゃ……!」
腰が抜けたのか、四つん這いのまま逃げようとする女。アマビエはずぶ濡れのスカートを掴んで言った。
「ごアンシンください。カレらはういるすではありません」
女の口から「へ?」と間抜けな声が漏れる。
「カレらはワタクシとおなじヨウカイ、“ケセランパサラン”デス。マッタクのムガイなのでごアンシンください」
昨夜、女のマンションを出て行ったアマビエは、ケセランパサラン達にこう頼んだ。
『こらしめたいニンゲンがいる。ぜひチカラをかしてほしい』と。
こうしてケセランパサラン達にウイルスのフリをさせ、当初の予定通り女を川へ落とすことに成功したアマビエ。
これで女は改心し、これからは妖怪に情を持って優しく接してくれるだろう。
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