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妖怪ショップからアマビエを持ち帰り、女は自身の住むマンションへと帰宅した。
「さあ、おウチに着いたわよ」
「おじゃま、しマス」
「あら、人間の言葉わかるの?」
「ハイ。すこしダケ」
妖怪の中には比較的知能を持った者も存在する。研究によれば妖怪の中には元人間だった者もおり、生前の記憶が残っているためだとも言われている。
「そっ。じゃあ先に忠告しといてあげる」
女はアマビエのひし形の目をジッと見つめ言った。
「沢山いる妖怪の中から私がアンタを選んだ理由。それは私の役に立ちそうだと思ったからよ」
その満面の笑みの中に、アマビエはどす黒いものを感じた。
「期待外れだったら即棄てるから。そのつもりで働いてね」
「は、ハイ……」
女のただならぬ雰囲気に、アマビエは豆鉄砲を喰らった鳩のように固まるしかなかった。
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