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「みんなー、新しい仲間を紹介するわ。アマビエちゃんよ」
玄関からの女の声に呼応するように、部屋の奥からぞろぞろと妖怪達が姿を現す。
「ヨロシクおねがいしマス」
女に買われた妖怪は自分だけじゃないのだと知り、アマビエは内心ホッとした。
「さあみんな、仕事よ。持ち場につきなさい」
女がパンと手を叩くと、妖怪達は一斉に部屋の奥に引っ込んでいった。
“座敷わらし”は掃除。“カッパ”は洗濯。“小豆洗い”は炊事。“あかなめ”は風呂掃除。それぞれがそれぞれの役割をこなす。
「さて、お風呂の前にひと汗かきますか」
女はフィットネスウェアに着替え、手にボクシンググローブを嵌めた。
「オラぁ! 死ねエロハゲがぁ!」
そして“ぬっぺふほふ”は、上司にセクハラをされた女のストレス発散のためサンドバックに。
それを見たアマビエは思わずくちばしをパカンと開けた。
「あ、あの、それはちょっと、カワイソウでは」
「いいのよ。こいつは肉の塊だからいくら殴っても平気なの。こいつも人様の役に立てて幸せなのよ」
当の本人は言葉を喋れないのかジッと佇んでいるのみだった。
「あんたも幸せになるため、早く私の役に立ってね」
アマビエはこの女に飼われたことを不幸に思い始めた。
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