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 風呂から上がり、鼻歌を歌いながら冷蔵庫を開ける女。中に並べられた缶ビールを手に取った瞬間、女の目つきが鋭くなった。 「ちょっと! 全然冷えてないじゃない!」  すると背後から“雪女”が申し訳なさそうに出てきた。 「ス、スミマセン……ヘヤがアツくて、チョウシが……」  女は無言のまま、夕食のスープが入った鍋に近づくと、お玉で中身をすくった。 「少し、お仕置きが必要ね」 「ヤ、ヤメテ……」  女はお玉を傾け、雪女へ熱々のスープを浴びせた。 「アギャアアッ!」  雪女は絶叫したまま湯気と共に消えていった。 「あらら、簡単に解けちゃた。新しいの買い替えなきゃ」  その光景を目撃していたアマビエはガタガタとくちばしを震わせていた。
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