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翌日の昼休み。
銀行のATMへ行き、現金の引き出し。
通帳記入を同時に。
引き落としは昨日完了。
残金が心許ないが、まあ何とかなる…
今日はまた昼から深夜まで仕事。
ここんところ毎日
その繰り返し。
会社に戻る途中、
見た顔とすれ違った。
黙って立ち去ろうとしたが、相手が声を掛けてきた。
「白木さん?」
「ん?ああ、久しぶり」
「お元気ですか?」
「うん?まあ、ボチボチね」
「あんまりお変わりないようで、よかったです」
「うん、相変わらずだよ。君も元気そうだね」
「ええ。こっちも相変わらずですよ。今お仕事中ですか?」
「うん、職場に帰るところだよ」
「あ、そうですか。新しいお仕事なさってるんですね。なんか、良かったです」
「毎日深夜までこき使われているよ。ただの派遣社員だけどね」
「え?派遣社員で、深夜まで、ですか?」
「そういう契約を選んだからね」
「あ…そうですか。まあ、ともかく、お元気そうで何よりですよ」
「ありがとう。それじゃあね。お元気で」
「はい、ありがとうございます。白木さんもお元気で」
「ありがとうね」
私みたいな者のために、名残惜しそうにしてくれて、少し有難い。
彼にも幸あることを願う。
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