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今日は面会の許可がおりた。 久々に顔が見れる。 元気にしているだろうか? 少し心配だが いずれにしても やっと会えるんだから、まあいい。 やっと会う気になってくれたんだから… 音を通すための小穴が空いたアクリル板の前に座った。 しばらくして、正面に見えるドアが開き、向こうから彼が入ってきた。 アクリル板越しの目の前の席に、彼が座った。 「久しぶり」 目一杯の微笑みを浮かべて、そう話しかけた。 「何?」 彼は俯いたまま、そうボソッと呟いた。 「うん…大丈夫かなと思ってさ…」 「あんたに関係ないじゃん」 「うん…まあ、そうかもしれないけど…」 その後、彼は何も話すことなく沈黙を続け、 時間が来た途端に、黙って目の前から消えた… 会えただけマシじゃないか… まずは会ってみることから始めるしかないから… そう自分に言い聞かせて、面会室から出た。
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