パパは友達じゃない

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日曜の昼にシオリと娘のサキと一緒に公園へピクニックに行った。シオリはサキにあらかじめケンジのことは友人だと紹介していた。ケンジは子供が好きだったので、すぐに仲良くなった。一緒にボール遊びをしたり、ブランコに乗ったり滑り台を滑ったりして過ごした。サキは自分の友達だと思ったようで、「ケンジくん」と呼んでずっと笑顔で遊んでいた。それからしばらくして、シオリはケンジと付き合うことに決めた。 シオリと元旦那は5年間結婚していた。金銭感覚が異なることが原因で喧嘩が絶えなかった。優しくて浮気もしない旦那だったが、サキが1歳になった時に衝動買いで新車を購入してきたことが離婚の大きな原因となった。今、元旦那は車で2時間程度の場所に一人で住んでいて、月に1回程度は週末だけサキと会っている。 ある日、ケンジはいつものようにシオリの家でサキと遊んで、シオリは台所で料理の支度をしていた。シオリが「できたよ~。」と呼ぶので、ケンジはサキに「お片付けしようか。」と声を掛けたが、サキは「イヤ!」と言って、走って行こうとした。ケンジはとっさに「サキちゃん、ダメだよ。ちゃんとお片付けしないと!」とたしなめた。すると、サキは大きな声を上げて泣き出してしまった。それを聞いたシオリはびっくりして台所から飛び出してきた。ケンジが事情を説明すると、シオリは 「サキはケンジくんのこと、お友達と思っているからびっくりしたんだと思う。サキ、もう大丈夫よ。ケンジくん、怒ってないよ。お友達とは仲良く遊ばないとダメでしょ。お片付けも一緒にしないとね。」と言った。 それからというもの、ケンジはあくまでもサキとは友達として接するようにしていた。サキとは友達として、シオリとは恋人としていい関係を築いていた。付き合い始めて2年が経ち、ケンジは結婚を意識するようになっていた。
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