パパは友達じゃない

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それからというものケンジは結婚、家族、夫婦、親子ということについてずっと考えていた。そして、ケンジは覚悟を決めて、シオリに 「結婚してほしい。」とプロポーズをした。シオリは嬉しくて涙をポロポロと流した。ケンジはシオリの涙が少し落ち着くのを待って、話を続けた。 「シオリと夫婦になり、サキちゃんとは親子になりたい。3人で家族になろう。」と言った。シオリはそれを聞いて、涙が一気に止まったようで、 「サキにはパパがいるし、ケンジくんのことは友達と思っているから、友達のままでいいよ、」と言った。 ケンジはそれ以上何も言えず、苦笑いをした。 結婚したら、3人での生活になる。ケンジはサキのいまだに片付けをしないところや食べ物の好き嫌いやものの言い方などが気になって仕方がなかった。決してシオリが子育てに手を抜いているとか甘やかしすぎているということではない。ケンジはサキの機嫌が損なわないように細心の注意を払いながら、しつけていこうと思った。しかし、そんなことはうまくいくはずもなく、サキはケンジのことを嫌い始めた。シオリにも「ケンジくん、イヤ。パパがいい。」とよく言うようになった。パパは月に1回しか会わないので、思いっきりサキを甘やかしている。毎回プレゼントも準備している。子供なら、だれでも口うるさく言う相手よりもわがままを聞いてくれる相手のほうがいいだろう。 ケンジはこのままではいけないと危機を感じていた。もう一度、自分は本当にシオリと結婚したいのかどんな家庭を築いていきたいのか自問自答し、結論を出した。この結論をシオリが受け入れられないというのなら、仕方がない。縁がなかったと諦めようとケンジは固い決断をした。
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