14人が本棚に入れています
本棚に追加
屋上へと繋がる階段の踊り場で、緊張に震える男が1人……なんて格好付けてみたが、その男というのは正しく俺であるし、緊張に震えている時点でもう格好良くない。
「あれ、東くん?」
後ろから突然掛けられた声に肩を跳ねさせて振り返る。
そこには学年1のイケメンと名高い、クラスメイトの衣更が立っていた。
その手には乙女チックな桃色の封筒がしっかりと存在している。
きっとラブレターだろう、モテる男はちげぇなぁ。
なんて、普段だったらダル絡みしていたに違いない。……普段だったら。
ダル絡みできないのは、その封筒に心当たりしかないからだ。
「どうしたの、東くん。こんなところで」
キョトン、と。丸くなった目が、気まずさで視線を右へ左へと彷徨わせている俺を映す。
言え。言うんだ。早く、終わらせた方が楽だ。
「お、俺、衣更に伝えたいことがあって」
震える唇でなんとか言葉を紡ぐものの、その声も力なく震えていた。
目をギュッと閉じて、大きく息を吸って
「俺、衣更のことが……す。好き、なんだ」
うがあああっ!
今すぐに逃げ出してしまいたい衝動に駆られる。
──言ってしまった。
ついに、『嘘の』告白を
最初のコメントを投稿しよう!