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「た、確かに大変だったけど、そういうことじゃなくて!」
話を逸らされたと思ったのか、頼仁は声を荒げた。
━━お前も声荒げたりすんのな。
なんか意外だわ。なんて。一体俺は、頼仁を何だと思っていたのだろう。
本当、コイツのこと何も知らねぇのな、俺。
でもさ、そんな俺でも
「気付いてたよ」
とはいっても、お前が陽太に勉強を教えてたところまでは分からなかったけどな。
大方、そういう趣味のある陽太が首を突っ込んだんだろうな。くらいだったし。
まぁ、うん。言わないけど。格好付けたいし。
「な、なんで……」
声が震えていた。目を丸くして、俺の目をじっと見つめている。
妙だと思ったのは、陽太の淡白さだ。強引に告白させた割に、結果を訊く時はヤケにあっさりと引き退るんだもんな。そこが一番気になるところだろうに。俺が言わないと決め込んだとて、普段のアイツなら1週間くらい付き纏ってくる癖に。
加えてお前は、たかがルーズリーフを『記念』なんて言って大事に持ってたしな。ご丁寧に折り畳んでよ。
これからのことを考えてくれているんだね、っていう言葉も引っかかった。
━━まぁ、今にして思えば。陽太が小テストとはいえ9割強の点数を取ったことが一番妙なことではあるが。
点数を見せられた時には、台風がくるんじゃねぇかと本気で心配したものだ。快晴だけれども。
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