幸せの味

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「気付いた上で付き合ってくれてたの……? なんで……」 疑問が尽きない奴だなぁ。1から10まで知りたいのだろうか。ま、いいけど。でも、そんな大した理由なんてない。 「嬉しかったから」 ただそれだけだ。でも、 思い出だけでも欲しい、そんないじらしさが可愛らしいと思った。 たかがルーズリーフを記念として大事に持っているコイツを見て、もっと色んなものをやりたいと思った。 今はまだ、お前のことを何も知らないけど。これから、色んなことを知りたい。もっと喜んでもらいたい。 「それじゃあ、ダメか」 親指で目尻に溜まった雫を優しく拭ってやると、頼仁は俺の手を両手で包み 「ううん、充分だよ。俺、今、本当に幸せだ」 今まで見たどんな笑顔よりも、綺麗に笑うものだ。
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