幸せの味

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「いや、でも……」 やっぱり良くないだろ。悪趣味は人様を巻き込まずにやってくれ。 勝負に負けてしまった俺はともかくとして、俺みたいな強面の野郎に、嘘とはいえ告白される衣更が可哀想じゃないか。 首を横に振った俺に、 「うーん。もう、やっちゃったんだよなぁー」 ……は? お前、今なんて言った? 嫌な予感がして、口元がヒクリと引きつる。 「やっちゃったって……何を?」 恐る恐る訊いた俺に、奴はにんまりと笑みを浮かべて 「靴箱にラブレター」 と宣った。 なんてことをしてくれたんだ! その後もあの手この手を使って全力で抵抗を試みたものの、全て無残に散り 「いってらっしゃーい」 と昼休みに見送られる始末。 こうなりゃ仕方ない。即刻フって貰って、衣更に謝り倒そう。土下座も辞さないぞ。
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