幸せの味

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「ねぇ、宗介。帰りにはどこか寄って行こう。 ……放課後デートってやつ」 なんて、嬉しそうに笑いやがるから。 もう、本当に何も言えなくなった。 「……そ、うだな。どこ行きたいのか、考えとけよ」 何も告げることのできない臆病な俺は、肯定することしかできない。 「わかった。放課後までに考えておくよ」 幸い、俺は同性同士の恋愛には然程嫌悪感はないし。(まぁ、陽太にあんなに熱弁されれば多少影響は受けるわな) 頼仁もイケメンと騒がれるだけあって顔立ちは整っているから、生理的に無理なんてこともない。 俺の気持ちさえなんとかなれば、上手くいけそうな気もする。うん、嘘を本当に変えてしまえば良い。 今すぐ喉を掻き切りたくなるほどの罪悪感に蓋をして、俺は「楽しみにしてる」と微笑んだ。
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