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6月の終わりの放課後。
いつもならるんるんと部室である家庭科室に行く深田千秋は、その日落ち込んでいた。
「ああ、どうして空は青いのに私のこの進路表は真っ白なの~」
オリジナルな節をつけて歌う千秋に
「歌ってる場合じゃないよ、それ今日まででしょ」
中村みどりは前の席で日誌を書きながら言う。
「そうなんだけど、専門か短大か~悩む」
ばたりと机に倒れこみじたばた手足をばたつかせる。
そんな千秋をため息をつきながらしばし見ていたみどりは
「よし、やまちゃんにお茶淹れてもらおう」
書きおわった日誌をぱたんと閉じると千秋の手を取り教室を飛び出して行く。
「ちょっとみどり、待って~」
「どうしたんですか2人とも」
ゼイゼイと肩で息をしているあたしと千秋にとりあえず水をと差しだすやまと。
「うう、真っ白なのよ。あの雲のように」
「えっと……」
あたしが水を受けとり飲みながら大げさに言うとやまとは目をぱちくりしている。
貴方も3年生になれば分かる!うんうん
「こっちは文化祭の出し物について話合ってました」
気を取り直したのかいつもの調子で話すやまとの声に顔を上げると、被服室の黒板に手づくり市だのお茶会だの書いてある。
「例年先輩方の作品を飾り販売をしてきましたが、今年は1年生も多く入ってくれたので調理室も借りてやれることがあるか考えて」
こんな感じに1年生からも意見がたくさん。なんて言いながらうれしそうな顔で説明してくれる。
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