0人が本棚に入れています
本棚に追加
お茶会の後で彼に「どうして僕なんですか?」と訊かれたことがあったっけ。
その時は「面白そうだから」なんて答えたけど。
初めて参加する文化祭なのにがんがん意見を言いい、ディスプレイから搬入までいろいろやる姿勢をみて
『貴方に決めた!』って思えたんだよな。
「大きくなったね~やまと」
なんだか懐かしくて、こんなに小さかったのにと見上げないといけない背丈になった後輩君に言ったら
「僕、ミジンコサイズじゃないですからね」
あたしの手の再現にご不満かね~
そっと指を戻してから、じゃこんな感じってやっていたら
「千秋、それ書きなよ。私が部誌に書いとくから」
やや呆れたみどりの声にすっと伸ばした手を下ろす。
「冷蔵庫は借りたいですね、あとお皿などは紙製で」
2人の副部長につづきを任せて、あたしは進路調査表に向き合った。
『千秋先輩は、カバン作り上手ですよね』とにっこりしていたやまとの言葉を思いだしながら書いていく。
「今度の文化祭実行委員会はやまちゃん行ってきて」
「僕じゃ千秋先輩止められませんよ」
書きおわった達成感で、ちょっと気になる言い方の2人も許せるね。
「ちょっと先生に渡してくる」
出で行くあたしの背中に
「春日先生呼んできてくださいね。あとレモンティ淹れておきますから」とやまとの声がし手を振って答える。
レモンティ~やまとの淹れたレモンティ~
るんるんと歌いながらスキップして職員室に向かった。
最初のコメントを投稿しよう!