不老不死の女

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不老不死の女

「不老不死の女を看取ってくれ」と言われて、絶望を味わった。社会福利厚生士の咲子は大手の従業員ではない。ノウハウのない場末に困難事例が飛び込んでくるという事は、塚が出来るほど匙を投げられたのだろう。 「それで彼女は今どこに?」 本人と直接連絡が取りたいという衝動を仲介者がやんわり制止した。 「認可外のケアホームで施設管理者がオフレコにしてくれと…」 冗談ではない。特別法定終末者の看護介護は許認可申請が義務付けられている。フリーの厚生士を雇うなど論外だ。 「お断りします。違法行為しょ」 即断すると仲介者が直球を投げてきた。「あなたを選んだ理由…」 耳に胼胝が出来て膿んでる。明日は我が身、だからだ。1秒後かもしれない。咲子は不可抗力で法の庇護を外れる。 翌朝、みどりの窓口でチケットを買い、西鹿児島港へ飛んだ。往還機(スライスシャトル)が途中、種子島で客を拾って軌道に昇る。
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