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守り女神にもハリウッド女優にもなりたくない
「航空戦艦は現代の救世主です。AAAED処置を受け、無敵と不老不死の身体を与えられる」
技術者はエリサ・スウェンスキーが如何に高性能で強力か雄弁していた。本気を出せば七つの先進工業惑星をほぼ同時に石器文明へ退化せしめる。
案の定、咲子はうわの空だ。自分も確率変動攻撃に居合わせたら、その場でAAAED処置を受け、あのような巨大宇宙船に生まれ変わるのだろうか。
姿かたちが変貌するわけではない。菅原祥子という蓋然性擾乱因子はアミノ酸レベルまで溶けて死んだ。素材は莫大な魔力を持つ機動兵器の養分になる。
その代償としてエリサ・スウェンスキーというクローンボディに脳が移植される。彼女とフネは量子通信で主観を共有する。
「あらら、エリサさんに一目惚れですか。美人でしょう?」
挙動に気づいたらしく、技師が茶化す。
「デザイナーズベビーでしょ?ハリウッド女優の」
素っ気なく咲子はカルテを閉じた。心では死んじゃえばいいのに、と呪文を唱えている。
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