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「え、なんのこと?」私は平常心を装って聞いた。
「わかってるだろ。
もう俺はお前の横にいれないんだよ。
俺はもういないんだから。」
彼は3年前の今日みたいな雨の日に一緒に帰る途中、この公園を出た道でわき見運転の車に跳ねられて亡くなったのだ。
雨の日が来るたび怖かった。
もうあいつがいないってことを、死んだ理由も思い出すのが怖かった。
もしその日雨が降っていなければ、もしその日公園にいかなえれば、もしその日この水溜まりを見ないで早く帰っていれば。
だから私は雨もこの公園も自分も大嫌いなんだ。
「もういいから、死んだのはお前のせいじゃないから。
それに雨の日の登下校もこの公園にも来ることができた。これなら俺がいなくても大丈夫だろ。
もう俺のことは忘れて自分のために生きろ。」
「ごめんなさい…
いやだ…行かないで。」
「なんで謝るんだよ、
相変わらず泣き虫だな。お前なら大丈夫だからもっと自分に自信をもてよな。」あいつは笑って言った。
私たちは、公園を出たあいつがはねられた道を通り過ぎた。
「ずっと心配かけててごめんね。
ねえ、私、出来たよ。」
そう言って私はあいつを見ると、あいつはもういなかった。
雨はやんでいた。空を見上げると。
「お前なら大丈夫だよ」とあいつが言っている気がした。
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