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雨の日は嫌いだ
雨の日は嫌いだ。
嫌いな理由はわすれたけれど、理由の一つはあいつだ。
下校時に雨が降ると、必ずあいつが下駄箱の前で待っている。
「傘忘れたから、途中まで入れてよ」
そう言っていつも勝手に私の傘に入ってくる。
「また?なんで毎回忘れちゃうの。」
「帰り道一緒だし、いいだろ。それに、お前雨怖いんだろ。
まだ、雷が怖いのかよ。」
「違うよ、別にいいでしょ。」
赤い傘には2人は入りきらない。
彼は肩を半分濡らしていた。
「濡れてるじゃん。風邪ひいちゃうよ」と私は言うと
「風邪なんてひかないよ」と彼は言う。
小さい子から近所に住んでいるあいつは、小さい頃はよく一緒に遊んでいた。
学生になっても、たまに帰ることがあるが、最近はめっきり減った。
途中公園が見えた。この公園は小さいころに遊んだ場所だ。
「今日は公園横切っていこうよ、そっちのほうが近道だよ」とあいつは公園に入った。
私はこの公園が大嫌いだ。
嫌がる私をあいつは早く来いと呼んでいる。
いつからだろうかこの公園を避けるようになっていた。
雨の公園は静かだった。
「あ、やっぱりあった!ここ大きい水溜まりができるんだよな。」彼は水たまりを覗き込んだ。
「あーほんとうだ、なつかしい」と
水溜まりには覗き込んだ私と、空だけが揺れる水面に映っていた。
私は、鼓動が速くなってきた。
「ねえ、もう行こうよ。雨脚強なりそうだよ、そうだ!今日ね」
「おい、お前いい加減気づいてるんだろう」と私の声を遮ってあいつは言った。
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