想像すらしていなかった胎盤剥離

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主人は一人で暗くて寒い受付へと戻った。とりあえずわたしの家族に状況を伝えなければいけないと思い、携帯でメールを送ることにした。しかし、日本語学校に通っていたものの、まだ意思疎通が問題なくできるほど日本語力がなかったため、どう伝えていいか分からず絵文字を並べてわたしの母親にメールを送った。病院のマーク、泣き笑いしているマークを受け取った母はなんのことだか分からない。主人は焦っていて悲しみを表現するために泣いている絵を選んだつもりが泣き笑いを選んでしまったから全く反対の意味になってしまった。 同時にわたしからは「今、病院で入院する」とだけメールをしていたので、母は出産という喜びではなく何か尋常ではないことが起きたのではと感じたようだ。母は父を起こし、事情を説明したが今は何も出来ないのでとりあえず朝になるまで待とうということになったようだった。 わたしは看護婦から 「赤ちゃんが降りてきやすいように注射をしますね。何か変化があったら呼んでください。」 と言われた。しばらくして膣から何か流れている感触があった。これがいわゆる破水かなと何の知識もないわたしは思った。すぐに看護婦が来てくれた。すると、 「出血していますね。」と。 そして、わたしは分娩室に連れていかれた。分娩室では主人を呼んでもいいと言われたので、主人に電話をかけ、部屋に来てもらった。
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