想像すらしていなかった胎盤剥離

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主人の顔を見ると悲しみと心配で悲壮感が漂っていた。そんな主人を見て、娘が亡くなったことを現実として受け止められ、初めて涙が溢れてきた。そして、真っ先に思ったのは「わたしのせい」。そして、えみのことを思い出した。えみと同じ悲しみがわたしにも襲ってきた。わたしはえみのことを聞いた時にきっと彼女は自分のせいだと自分を責めているだろう。でも、決してそうではない。妊娠していても全く普段通りに生活をしたり、お腹の中にいる赤ちゃんのことを気にもせず、喫煙したりしている人が無事に出産をしている。逆に気をつけて生活をしていても流産してしまったり、死産してしまったりしている。えみは本当に愛情深くお腹の中にいる赤ちゃんを大切にしていた。だから、えみのせいなんかじゃないと思っていた。それをわたしは自分にも言い聞かせた。 「わたしのせいじゃない。わたしのせいにしたくない。」 主人にもそういった。自分のせいだ、と思うと、暗い穴の中に入ったまま上がってこられなくなると感じていた。一生笑えない生活を送ることになると感じていた。神様は悲しみだけを与える方じゃないことを知っている。自分のせいにしてはいけないと強く自分に言い聞かせた。主人は泣きながら 「違うよ。自分を責めたら絶対だめだ。」と言ってくれた。
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