光が射してきた人工授精

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一日でも早く子供が欲しいわたしは体外受精をすぐにしてもらえないことに大きなショックを受けた。わたしはもう36歳で高齢になる。妊娠もしにくくなるから焦っていると先生に言うと、36歳なんてまだ若い。妊娠だってまだまだできる年齢だと言われた。そんなことを言われても巷では35歳から高齢出産だと言われている。高齢出産はリスクも増えると言われている。先生の言うことなんて信用できない。慰めでそんなことを言っているだけで、真に受けてのんびりしていたら、いつまでもわが子には会えない。そんな思いがこみ上げてきた。 病院を出るとすぐに主人に電話をして迎えに来てもらった。家から病院まで歩いて20分くらいだったが、一人で歩いて帰る気力さえなかった。なんのために日本に来たのか分からない。この先生だといつ子供が授かるか分からないと言って泣きだしてしまった。近くに公園があったので、主人がわたしを公園へと誘導した。そこのベンチに座って、まだ泣き止まないわたしの肩を主人は黙って抱いてくれた。徐々に落ち着き、二人でこれからのことについて話し合った。 早く子供は欲しいけれど、転院となるとまた全ていちから説明しなければならない。わたし達の望んでいる通りに治療をしてくれる医師がすぐ見つかるかは分からない。今の先生を信頼するしかない。子供は気長に待とうという結論に達した。それがわたしの気持ちを楽にしたのか、なんと、この2回目の人工授精で陽性反応が出た!日本に来てたった3ヶ月での妊娠。やっとトンネルに光がさしてきた。
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