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「ひっ!?」
目覚めたとき、ミミミは思わず悲鳴を上げた。
若い男性に、まじまじと顔を覗き込まれていたからだ。
ミミミは、見知らぬ部屋で、豪華な天蓋付きのベッドに一人で横たわっていた。
見つめてくる青年の瞳はエメラルドグリーン、髪は銀色、透けるような美しい色白の肌。繊細で優しげな雰囲気の、白っぽいローブのような服を身に着けた美青年だ。
これはやはり、本当に異世界に来てしまったらしい。
ミミミは、歓喜と当惑が入り混じった気持ちで男性を見つめ返した。
だが、青年は難しい顔をしている。そして言った。
「あなたは、私の妃になるためにきたのですよね?」
「え? ええ、まあ」
――これはいよいよ、異世界確定?
この人が私の王子様?
ミミミは期待に満ちた目で、男性を見つめ返す。
しかし彼は、ふう、と美しい眉をひそめてため息をついた。
「どうして、こんなひどい吹き出物だらけの女性を呼び出してしまったのだろう」
優しげな顔で何気にキツイことを言い、首をかしげる青年。
しかし、彼の玉のような肌を前にしては、ミミミには反論のしようもない。
ミミミの思惑では、もっと美しいヒロインに生まれ変わっているはずだったのだが、なぜかミミミは転生してもミミミのままらしい。
……が、よく考えてみると、雑誌にはたしかに「召喚される」とは書いてあったが、「生まれ変わる」とは書いてなかった。
ミミミはミミミのまま、単にこの世界に移動したということだ。
うかつだった、と今さら後悔してももう遅い。
透き通るような白い肌の男性は、ミミミを矯めつ眇めつ眺めながら言う。
「あなたの肌荒れがひどいのは、生活が乱れているからですね」
図星を突かれて、ミミミは黙り込む。
優しい口調のわりに、やはり歯に衣着せぬ物言いだ。
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