柏村 京 1

2/2
前へ
/3ページ
次へ
夏服プリンセスと話してると、「はよー」とは対照的にシのシャープくらい低い音のおはようが私に直撃する。まあ絶対音感じゃないから分かんないけど。 シのシャープ(仮)の声主である悠人が眠そうな顔で隣の席に着く。寝起きの私か!とツッコミを入れると、なんだそれと言いながらケラケラと笑う。おはようの返事で急に寝起きの私か!って言われたら、なんだそれと言いたくなるし、笑うしかなくなると思う。至って正常な反応だ。私が、こんなのが彼女だと苦労するねと言うと、自覚あるなら直してくれと呆れ顔で言われた。正常な反応だ。 悠人の前の席、つまり私の左前にはいつのまにかおじいが座っていた。おじいは老け顔だからおじいで、すごい失礼なんだけど本人は特に気にしていない様子。それに甘えておじいと呼ばせていただいてます。おじいは真面目で次の授業の準備をしている。1限目は世界史。百年戦争あたりのページを黙々と読んでいた。私もそろそろ用意しないとな。 めんどくさいなーと思いつつ鞄から教科書を取り出すとチャイムがなる。前の方を見渡すと左の方に空席があるのを発見した。キューちゃん今日休みなんだ。どうしたんだろう。あとで連絡してみよ。 今日も普通だった。いつもの日常だった。今日から夏服で、キューちゃんは休みだったし、結局雨が降ってテンション下がったけど、悠人が家まで送ってくれたし、なんだかんだ楽しい1日だった。別に思い出すほどのものでもない、なんてことない日、だった。
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加