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それから、ぼくは彼女のアカウントをフォローして、毎日のように紡がれる文章を欠かさずチェックするようになった。もちろん毎回ハートを送ることも忘れない。彼女からフォローが返ってきた夜には眠れないほど胸が高鳴った。
美雨さんの文章は、驟雨でもなく、霧雨でもない。一定の雨脚でぼくの心に降り注いでくる。極度に激しかったり、弱かったりせず、常に適度な質量の淋しさと、おだやかな美しさがその言葉たちには満ちていた。その雨の中にいると、ぼくはなぜだか呼吸が楽になって、生きていることを許される気がした。
彼女の言葉を口のなかで諳じて、その言葉の湿度に、潤いに恍惚として、今度は秘め事ように囁いて、それを何度もなんども繰り返した。時には手帳に書き写して、ふとしたときに読み返すこともあった。その時間はなによりも幸福だった。
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