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「コラ!メバル!」
お茶の間にカミナリが落ちた。
落としたのは凪平、穏やかな名前が的外れの瞬間湯沸かし器(注:昭和期の給湯システム)だった。落とされたのはメバル、小学5年生のわんぱく坊主だ。メバルは算数が苦手だった。もともと嫌いではなかったのだが、いつの間にか授業で何をやっているのかがさっぱりわからなくなってしまった。
今日もテストが返された。親友の中之島は100点だった。メバルは・・・0点だった。今回だけではない。今学期は20点とれればいい方だった。このままでは両親が呼び出される日も遠くはない。
父、凪平は成績に厳しかった。成績だけではない。メバルの為すことすべてに厳しかった。メバルは明るく振舞ってはいたものの、凪平を恐れていた。カミナリを恐れ、返ってきたテストを見せることもできない。だから隠す。そして隠したことを叱られる。繰り返される悪循環。
もちろん、中之島のようにいい点であれば、胸をはって見せることができただろう。だが、今回は最悪の0点だ。メバルは今度もテストを隠したが、母、フナに見つかった。そして、それを見た凪平の血圧は200を超え、怒鳴り声は120dBに達した。
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