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枝豆をつまんで口に入れ、ビールを飲んだ。苦い。これを美味いと言う味覚が、今でもわからなかった。でも、父の真似をして、なんとなくビールを飲むようになったのだった。
「あの日、父さんがそのことに気づいてくれてよかったと思う。一緒に風呂に入って幾何学を教えてくれた。中之島は塾で学んだけど、僕は風呂場で父さんに数学を習ったんだ。僕の自慢だよ」
写真の凪平は笑顔だった。穏やかな表情で、優しく猫を胸に抱えていた。
「これが新しい論文。この定理、ここんとこの証明、わかる?すっごくトリッキーだ。僕ってやっぱ天才だったんだよ」
メバルはくっくっくっと笑うとフナにぺろっと舌を出した。僕はもう大丈夫、カミナリなんて気にしてないよ。
フナはエプロンで涙を拭った。
Q.E.D.
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