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「まったくお前というヤツは遊んでばっかりで、ちっとも勉強せん!中之島くんを見習ったらどうだ!宿題はちゃんとしてるのか?」 メバルはリクガメのように首をすくめて、蚊の鳴くような声で答えた。 「・・・してるよ」 「嘘をつくんじゃない!宿題しているなら0点にはならんはずだ!」 「だって・・・テストは宿題の範囲じゃなかったんだ」 「また口ごたえか!お前のような出来そこないはワシの息子じゃない!出て行け!!」  典型的な疑問形のやりとりに、どんどん修羅場化していく。成り行きを見ていた母、フナはオロオロするばかり。妹のモズクは怖くて今にも泣きだしそう。 大家族だが狭い家である。父、凪平の居場所はお茶の間しかなかった。メバルは0点のテストを受け取り自分の部屋へと向かった。フナに舌をぺろっと出し、明るく打たれ強いわんぱく坊主を演じた。僕は大丈夫だよ、と。だが、心はもうズタズタだった。  部屋に入るとメバルは声を潜め泣いた。部屋は妹と共有だ。妹が部屋に来ないことを祈りながら、泣いた。泣いているところを妹に見せるわけにはいかなかった。
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